憧れる ということ 

 

10月を迎え、いよいよ秋らしい気色が感じられる季節になりました。2ヶ月間程度の限られた期間ではありますが、スポーツに勉学に、そして行楽にと時間を有効に活用しましょう。そして、ちょうど秋たけなわの115日(日)、奈良市内にて「第13回錬聖会大会 演武会」を開催します。

 

日ごろの練習では味わうことが難しい貴重な空手体験を用意していますので、会員の皆様は、ぜひ、ご参加ください。

 

さて、今まさに愛媛県で開催されている今年の国体に、当会の大浦靖矢選手と橋本翔生選手の2名が奈良県代表として出場します。当会にとって、まさに“期待の星”であり、若い選手たちにとっては、“憧れ(あこがれ)”の存在となっているでしょう。もちろん、若い選手たちにとっての彼らは、一緒に練習してきた見慣れた先輩ではあるでしょうが、むしろ、身近であっただけに、今回の同時国体選抜は、

さらに大きな出来事として若い選手たちの“憧れ”を()き立てているに違いありません。

 

“憧れ”とは、「そうなりたい」という自己の欲求の表れであり、自分の将来を重ね合わせた強い成長意欲の表れなのです。私の学生時代の憧れは、まさに南出宗家(当時、師範)であり、いつか自分も「あんなに強くなりたい」と強い憧れを抱いていました。そして、この憧れは、初期段階で「模倣(もほう)」という行動として現れます。「技は(教えてもらうのではなく)盗み取れ」とは私たちの現役時代に叩き込まれた教えですが、憧れの気持ちがあれば、結果的に、その人の技や気合の声、場合によっては日ごろの立ち振る舞いに至るまで見習っている(模倣している)ものです。つまり、憧れは“成長の引き金”となる重要な心の様相だと言えるのではないでしょうか。

 

 

そして、憧れを提供する人は、自分の技や立ち振る舞いを見習っている人がいることを自覚し、その視線に恥じることのない言動を心がけ、空手人としての(たゆ)まぬ修練に励む必要があります。そして、そのことがまた、本人をさらに成長させてくれるのです。

 

大浦、橋本両選手には、錬聖会若手選手たちの“憧れ”を力に変えて、愛媛国体で大いに力を発揮してもらいたい。

 

 

2017101

 

日本空手道 錬聖会

                                   会長 森 拓生

 

会長のことば 2017年10月
会長のことば 2017年10月原稿
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