新しい年度を迎えて

 

 今年もまた桜咲き舞う春がやってきました。長い冬を乗り越え新たな生命の息吹を生み出す、まさに新鮮な季節の到来です。私たちのまわりでも、新入生や新入社員たちが胸はずませて新たな社会へと飛び立つ時期であり、周囲にはエネルギーが満ち溢れています。
今年は、4年に一度のオリンピック・パラリンピック、日本からすると地球の裏側に位置するブラジルはリオの地で世界屈指のアスリートたちが熱い戦いを繰り広げます。そして、さらに4年後の2020年には、東京にて2度目となる大会が決定しており、空手道が正式種目となることが内定しています。
 既に東京では、オリンピック開催に向けて、幹線道路の整備や地下鉄の延伸工事、あるいは宿泊施設の着工など着々と準備が進められているところです。
そのように開催に向けた雰囲気が高まるなか、新たな競技種目となる空手道に対する関心が高まることは必至であり、私たち日本空手道錬聖会にとっても、さらに空手道の輪を広げて行く千載一遇のチャンスと言えます。より多くの方に、空手道の魅力を知っていただく活動を強化したいと考えていますので、会員の皆さまにも是非協力をお願いしたいと思います。

 では、空手道の魅力とは何か・・・。人それぞれに感じ方や考え方が異なりますので、この問いは愚問かも知れませんが、長年、空手道の世界に携わっている者として、敢えて文章にしてみたいと思います。
 ■魅力その①
   空手の動きや技は一日には成らず、何人によらず長年の蓄積を要すものである。
   それだけに、身につけた技などは、あくまで固有の財産であり、紛れもなく人生の宝物と

   言える。
   (蓄えた金品は一時の欲求は満たしてくれるが、使えば減るし盗まれればすべてを失う)
 ■魅力その②
   身体の練磨による肉体に対する自信は、やがて精神の安定へとつながることで「人格」へと

   発展して行く。真に「自信(自分に対する信頼)」のある者は、相手の立場を理解し、

   また、他人を救い得る余力を有す本当のやさしさを身につけている。
   (心身に自信をもてない限り、残念ながら、本当のやさしさを発揮するに至らない)
 ■魅力その③
   空手の道を究めることに何ら制限はなく、門戸はすべての人に開かれている。
   性別や年齢などにかかわらず、その人の信念と弛まぬ努力次第で、いつまでも・どこまでも

   自己の成長を進めることができる。
   (どんなに才気に溢れていようと、努力の積み重ねがないところに空手の道は拓けない)

 

上述したことと、それぞれの年代や成熟度に応じた短期的な目標は異なります。若い人たちがオリンピックや各種の大会で勝利を目指して(魅力と感じて)努力することも、その時期の修練としての節目となって有意義でしょうし、壮年から始められた方が健康のために取り組む鍛錬は、自身の肉体年齢・健康年齢を若返らせることによって、自身の力で人生を楽しむ時間と機会を拡大していると考えられます。

2016年度も、錬聖会はお互いに切磋琢磨して、みんなで“道” をのぼって行きましょう!


                          2016年4月1日

                          日本空手道錬聖会 会長  森 拓生